MRTは1997年に建設がスタートし、04年7月に開通し、建設費用は27億ドルに達した。MRT建設費用の多くは日本政府がタイ政府に提供した政府開発援助(ODA)によってまかなわれ、日本企業の大林組、東急建設、西松建設が建設に加わった。MRTの駅の多くで、タイと日本の国旗のマークを目にすることができ、これは日本からタイへのODAを記念したものだという。このような歴史的かかわりがあるため、このたび日本の3企業がバンコク都市鉄道拡張建設プロジェクトを一息に受注できたことは不思議でも何でもない。BTSは95年に建設がスタートし、99年12月に開通した。ドイツの技術を採用し、車両は初めはドイツ企業が製造していたが、10年からは中国の長春軌道客車株式有限公司が研究開発した車両を使用するようになった。タイで発行される日本語週間新聞「バンコク週報」の宮内努記者によると、中国の高速鉄道と都市軌道交通の車両技術が成熟するのに伴い、日本は東南アジアで中国との競争を意識するようになったという。
だがアジアの高速鉄道をめぐる戦いで、日本はまだトップに立っていない。ドイツのシーメンス、フランスのアルストム、カナダのボンバルディアの3社が世界の鉄道建設のシェアを半分以上占めており、中国の高速鉄道はまだ日本の主要な競争相手ではない。