米国のTRWオートモーティブ・ホールディングスのアジア太平洋エリアの華霽財資総監は、「弊社は世界中の従業員に利益を分配しており、われわれが最も頭を痛めている問題は中国の従業員に対する利益の分配だ。(分配するために)巨額の費用、煩瑣な手続き、長い時間が必要だからだ」と話す。
外為管理制度の具体的な金額や政策は国によって異なる。このため実際の操作において、各地の政府にはあいまいな「グレーゾーン」が残されることになり、企業は現地政府と絶えず交渉しなければならない。前出の楊会計経理は、「多国籍グループにとって、中国での最大の困難は外国為替管理制度であり、全国統一の透明度の高い政策がないことだ。具体的にどれくらいの金額を中国の内外で流通させられるかは、現地の役人の腹づもりで決まり、明確な根拠がない。このため、われわれは一件一件、現地政府と長い時間をかけて話し合うしかない」とあきらめの表情で話す。
企業が変化するなら、企業にサービスを提供する金融機関は企業よりも早くサービスの位置づけを改めなければならない。米ゴールドマン・サックスグループのグローバル流動性管理部門ドイルエリアのアントニオ・ニコデムス執行総裁は、「弊社の業務はいずれも企業とともに歩むものであり、人民元国際化は企業の再構築をもたらす。弊社の業務は企業の先を歩んでいなければならず、そうでなければ激しい競争の中で顧客を失うことになる」と話す。
最近の中国の改革はかけ声倒れであるという声が出ているが、シンガポールのDBS銀行、ゴールドマン・サックス、ドイツ銀行の主要責任者は、「中国政府の現在の改革は非常に勇敢なものだ」と話す。