中国国務院は先般、優先株発行の試行を実施することを決定した。優先株発行は市場化改革の促進にプラスに働くだけでなく、一部の改革の突破口になることが期待されている。
すでに海外市場で定着している証券商品である優先株の中国での需要は日増しに高まっている。まず、中国の上場銀行の一級自己資本は大幅に不足している。銀行にとって、優先株の発行は株主の利益を損なわないことを前提として、長期運転資金を補充することができるだけでなく、銀行の監督・管理基準を満たし、資産負債の構造調整を促進し、レバレッジと経営リスクを小さくすることができる。会社のキャッシュフローに問題が発生した場合には、優先株の利息の支払いを延期或いは取り消すことが可能で、銀行の財務圧力を緩和することにもつながる。優先株の発行は銀行の資本目標を満たし、二級市場の融資圧力を軽減することもできる。銀行が優先株を発行することで、銀行株の株価評価(株価バリュエーション)は10―15%上昇するとの見方もある。その上、銀行株のバリュエーションの上昇と二級市場の融資圧力軽減を受け、新規株式公開(IPO)再開が直面する市場の条件が改善されることで、新株発行制度改革の深化にとってより良い市場環境が整う見通しだ。
次に優先株の発行は国有企業改革の更なる深化につながる。国有資産の管理体制の整備、財産所有権制度の整備は改革の重点であり、以前の改革に比べ、今回の国有資産・国有企業改革は国有経済の活力、コーントロール力、影響力の反映を絶えず強化することを強調している。改革の中心となる方針は、株式の多元化を促進し、国有企業改革への社会資金の参入を誘致することで、優先株が株式の投資モデルとして大きな効果を発揮することである。