第二に、日銀が超金融緩和策をうち出し、マネタリーベースの拡大に努め、2%のインフレ目標を達成しようとすることには、一定のリスクも含まれる。現在、日本国内は物価上昇の傾向にあり、中小企業の経営コストや消費者の生活負担が増大している。特に普通のサラリーマンの給与が増えず、日本の消費者の購買力は弱まっている。
早稲田大学ファイナンス総合研究所の野口悠紀雄顧問によると、世界経済のペースダウン、日本企業の海外移転といった要因の影響により、円安は期待したほど輸出の伸びを促してはいない。この背後には構造的な問題があり、またアベノミクスには実体経済を改善する力がなく、かえって日本経済を悪化させていることがわかるという。
第三に、日本政府がうち出した「日本再興戦略」にはみるべき内容がなく、行政による管理コントロールの緩和などでは力不足で、経済成長を強化するという当初の目標を達成することは難しいとみられる。
共同通信社経済部の谷口誠部長の指摘によると、安倍政権がうち出した成長戦略では、農政改革などの敏感な問題を抱えた分野での切り込みが不十分だ。提示された指標の多くは中長期的な目標で、たとえば10年間で国民総所得(GNI)の一人当たり平均所得を150万円に引き上げるなどとしているが、具体的な対策は示されていない。日本の歴代政権が短命だったことを考えると、安倍政権が成長戦略の実施にどれくらい誠実に向き合っているかをいうことは難しい。