盛司長は、シャドーバンキングには積極的な役割があるとの見方を示す。
だがシャドーバンキングはリスクもはっきりしている。ここ数年来、シャドーバンキングは中国の金融業システムで最も急速に発展した分野であり、シャドーバンキングの業務では伝統的な銀行からみればリスクが高いとされる借り手に資金を貸し出すのが一般的だ。この借り手には地方政府もいれば、不動産開発業者や過剰な生産能力を抱えた産業の大企業なども含まれる。現在の約20兆元(約346兆円)に迫る地方政府の債務には、大きなリスクが潜んでいるといえる。
今年に入り人民銀が金融市場に出回る資金を引き締め、貸出を引き締めると、資金不足現象が起きたが、実際には貸出の規模はそれほど縮小していない。このような事態に陥った原因は、中国資本銀行の多くが簿外業務における複雑な取引を通じて貸出制限を回避しようとしたことにある。このことが中国の債務に対する依存度を高め、ついには中国の金融の安定を脅かすことにつながった。よって今、各商業銀行の簿外業務はすべてシャドーバンキングではないとは言い切れない。
シャドーバンキングは両刃の剣だ。実体経済を促進する積極的な役割も及ぼせば、巨大なリスクを内包してもいる。シャドーバンキングのリスクを避けるか縮小するには、またシャドーバンキングを誘導して積極的な役割を発揮させるにはどうすればよいか。厳格な監督管理を行うしか方法はない。