日本の経済界では、日本が持続的な経済復興を実現するためのカギは産業のバージョンアップにある、との見方が一般的だ。アベノミクスの成長戦略では、医療や農業など重点突破を目指す多くの分野を確定したが、進展が遅すぎるという批判が出ている。SMBC日興証券の肖敏捷・経済アナリストによると、政府の成長戦略は中味が細かすぎ、取り組みがちまちましており、発表されると市場に失望が広がったという。
安倍首相はこのほど行われた自民党大会で、所得引き上げによる内需拡大を呼びかけた。日本の大手企業各社は賃金アップの必要性は承知しているが、これからの経営には不確定性があり、賃金を引き上げたとしても、引き上げ幅はそれほど大きくならないとみられる。ゴールドマン・サックスのエコノミストがこのほど発表した報告によると、安倍政権はこれまでずっと大企業に対し、利益の伸びの一部を賃金引き上げに充てるよう呼びかけてきたが、日本の雇用の70%は中小企業が占めており、中小企業は大企業ほどアベノミクスの恩恵を受けていない。円安で中小企業のコストが上昇しており、こうした情況の中で中小企業に賃金引き上げを求めるのはあまりにも酷というものだ。