中国は今回、レアアースをめぐって劣勢を跳ね返せるだろうか。中国社会科学院(社会科学アカデミー)国際法研究所国際経済法室の劉敬東主任によると、専門家チームの報告書には検討しなければならない点が2つあるという。
一つは輸出関税で、中国政府が「関税及び貿易に関する一般協定」(GATT)第20条(環境の保護に関する一般的例外の条項)を利用して抗弁できるかどうかだ。中国のWTO加盟文書には第20条が直接引用されていないが、これを根拠に中国のWTO加盟国という自明かつ基本的な権利を否定することは不公平だといえる。レアアース案件において、専門家チームの3人のうち1人が中国側の権利を認め、ブラジルやロシアといった発展途上国の加盟国も同様の見方を示した。残念なことに、2人の専門家はさきの9種類の原材料の案件での見方を踏襲し、中国側には第20条を利用する権利はないとした。
もう一つは中国政府の輸出制限措置で、専門家チームは中国の環境保護という狙いを支援し認めてはいるが、輸出割当額などの具体的な措置がWTOルールと一致しないとの見方を示す。中国側が措置を実施する中で予想を下回る成果しか得られなかったとしても、それで措置をすべて否定することはできない。そんなことをしたら、公平を失することになる。