中国の李克強総理による訪英が、サッカーワールドカップに匹敵する世界的な中国ブームを巻き起こしている。李克強総理の今回の訪問では、中英両国は、40件余りのビジネス合意を締結することになっており、対象分野はエネルギーや投資、ハイテク、金融など多岐にわたり、総額は300億ドルを超え、史上最大規模となる。世界経済が中国を契機としたチャンスを迎えるのは2回目で、世界経済への影響は1回目とは異なるものとなる。
中国を契機とした1回目のチャンスは、米国と西側諸国の主導した冷戦後の政治経済のグローバル化を発端とするものだった。とりわけ中国のWTO加盟後、中国は世界の工場となり、欧米が資本を出し、中国が製造し、世界で消費が行われるという局面は、中国を変えただけでなく、世界も変えた。第一に、欧米諸国の多国籍企業は、経済グローバル化による最大の受益者となり、廉価な生産拠点を見つけ、経営コストを引き下げることに成功した。第二に、中国は、世界で最大規模の生産・加工拠点として、大量の廉価な商品を世界に提供するようになった。