在中国外資系企業への集中検査を「陰謀」や「貿易保護主義行為」と言いくるめようとしているのは、サブプライム住宅ローン危機以降、一部の外国企業による中国投資環境悪化という不平節の延長だ。筆者は、決して我が国の投資環境が既に非の打ちどころがないと思っているわけではない。投資への環境整備は重視すべきことであり、良好な投資環境は国内企業と外資系企業が共に享受するものだ。だが、「外資系企業差別」というレッテルを20数年にわたって「外資への超国民待遇」で知られている中国に張ってしまうのは不思議だと言わざるを得ない。持続的に伸びる外国資本による直接投資の統計データと突き合せると、その不平はいかに力不足かに見える。
独占禁止法は「市場経済の憲法」と称されているが、その制定と実行は一国の市場秩序を改善するに有利であり、その市場におけるあらゆるまともに経営している企業にとってはよいことだ。中国など発展途上国が独占禁止法を実行し、それを自国内にある外資系企業や外国企業に適用するのは、国際公平性の向上にも関わる。なぜなら、独占禁止法はハードルの高い法律で、発展途上国における独占禁止法の制定と実行は先進国に立ち遅れているため、発展途上国が独占禁止法域外管轄制度の発展において不利な局面に陥るからだ。
競争法規が相対的に立ち遅れている発展途上国において、西側の多国籍企業による市場独占問題が一層際立っている。このことは我が国における多国籍企業の市場独占競争の様子から一目瞭然だ。言い換えれば、国際独占企業が発展途上国から略奪した独占収益がより高くなっているのだ。だが、サブプライム住宅ローン危機発生するまで独占禁止実践運動の中で、多国籍企業の独占を取り調べて処罰を与え、天文学的数字の罰金を科したのはほとんど先進国であった。