時代が変われば、人々のニーズも変わる。複雑な社会・生活の水準をはかるのに、単純な指標を使うことはできない。GDPをめぐる議論は、中国だけでなく世界でも交わされている。フィナンシャル・タイムズアジア版のデビッド・ピリング(David Pilling)編集長は最近のコラムで、GDPの変遷と欠点とを整理した上で、GDPという指標を脱却することはまだ難しいとの結論を示している。
数字は簡単でわかりやすいものの、所詮数字に過ぎない。経済成長は民衆生活の幸福感と離反し始めており、政府も従来のGDP評価モデルを改善さらには放棄し始めている。もちろん評価指標を放棄するだけで中国の政治経済体制をすぐに変更することはできないだろうが、正しい方向へと意義のある一歩を踏み出したとは言える。中国経済の転換に伴い、GDPへの崇拝を放棄する人が増えており、とりわけ80年代生まれや90年代生まれの若い世代は、発展に対して親の世代とは異なる理解を持っており、多元化を強めている。