東京外国為替市場で9日、円相場が一時1ドル106円13銭と5年11ヶ月ぶりの安値をつけた。円相場の2012年9月の1ドル77円台から106円台までの下落は、日本経済と国民生活に大きな影響を及ぼしている。それにはメリットとデメリットの両面が含まれる。メリットを享受できる業種としては、自動車、電子機械、旅行業などがある。その中で海外を主要マーケットとする自動車産業は円安メリットの最大受益者。1円の円安で受ける年間メリットは、トヨタ自動車が400億円、ホンダが120億円といわれる。円安は2013年の自動車産業の利益総額(1兆8000億円)においても大きなファクターだった。円安がこのまま続けは、今年下半期に自動車メーカー7社が受けるメリットの合計は1578億円以上が見込まれる。
電子・機械業界も同様のメリット業種。日本経済研究所の試算によれば、円相場が104円台で推移した場合、2014年の下半期は日立で124億円、キャノンとコマツがそれぞれ62億円、74億円プラスの増益要因となる。大和証券の日本の主要200社に対する調査では、1円の円安は全体の利益率を0.5%押し上げ、1400億円の利益を生む。
旅行・ホテル業界も恩恵を受けられる。円安によって日本への渡航費用が大幅に下がり、来日外国観光客の数が急増するためだ。2013年の外国人観光客は初めて1000万人を超え、2014年の1~7月までの数も753万人と前年同期比26.4%の増加。そのうち中国からの観光客は90%増の129万人だった。