国際通貨基金(IMF)のデータによると、購買力平価説に基づいて計算すれば、2014年中国のGDPは17兆6000億ドルに達し、米国の17兆4000億ドルを抜いて世界NO1のGDP大国になるという。IMFはさらに、2019年になると、中国の経済規模は米を20%上回ると予測。
これは初の中国経済「NO1説」ではない。ただこれまでの中国経済規模に対する各研究機関の推定と比べ、IMFは権威性を持っていることから信憑性が一層高く、米国で世論を沸かせた。だが、我々はぬか喜びする必要がなく、ぬか喜びする理由もない。
異なる国の経済実力を比較するには通常2種類の計算法がある。1つは購買力平価説で、もう1つは名目為替レートによる実体経済への評価である。だが、いずれも限界があって必ずしも実態経済を反映するとは限らないものだ。
購買力平価説の計算法は2か国通貨の購買力に基づいて比較を行うもので、採取する商品価格の情報によって計算結果が大きく左右される。例えば、中米間を比較する際、採取情報が、平均価格水準が米国を超える中国の不動産価格をメインにすれば、中国の経済規模は米を遥かに高くなるが、一方、労働力コストを主に反映する、平均価格水準が中国を上回る米国の商品価格をメインに選べば、全く違う結論が導かれることになる。しかも、異なる商品の価格形成メカニズムがそれぞれ違うため、採取情報自体が必ずしも実態経済を反映するとは限らない。相対的に言うと、中国の価格システムは現実と乖離する確率がより高くなっている。このことも購買力平均による計算法の信憑性を低くさせることになるだろう。一方、名目為替レートによる計算法は、為替レートへの合理的評価は多くの場合政治立場によって決まってしまうから、その結果も同様に信用できない。