従って、中米経済規模に対するIMFの比較は両国経済成長のトレンドを反映しているだろうが、必ずしも経済の実態を真に反映しているとは限らない。
ましてや、中国の経済規模が真に米国を抜いたとしても、我々がはぬか喜びすることはない。経済規模は1国の経済総量を反映することができるが、経済の強弱は反映できない。そのため、国力の強弱も反映できない。歴史を振り返えればわかるように、過去の曖昧な統計時代で、中国の経済規模は一時長らく世界をリードしていた、それでも国力の衰退は免れなかった。1人当たりのGDPを見れば、その強弱の格差は火を見るより明らかだ。中国の人口規模はアメリカの5倍になる。このことはたとえ経済規模が米国と同じであっても、中国人1人当たりの生産高は依然としてアメリカ人の5分の1しかない、という事実を示している。
さらに次の事実にも目を向く必要がある。つまり中国は経済規模が米国に急接近すると同時に、温室効果ガスの排出量も世界一で、単位GDPのエネルギー消費が主要経済国でトップに位置し、世界平均値の2.5倍にもなっているということ。これらのデータから中国経済成長の粗放さを垣間見ることができる。しかし、単に労働力資源や環境資源を頼って得たGDPは総量が高いほど持続できないものだ。