近年、中国の対外直接投資が急速に拡大している。2013年には1000億ドルを突破し、2年連続で世界第3の対外直接投資国となった。アナリストによると、この勢いで成長すれば、中国は2015年には資本の純輸出国となる見込みだ。
日本の大学の斎藤宏教授によると、中国が対外直接投資で世界第3位に躍進したことは、中国経済が成熟しつつあることの重要なシンボルであり、世界第2の経済大国としての地位を向上させるものとなる。米日英などの先進国経済の重要な特徴は、商品輸出から資本輸出に対外経済の中心が移動していることにある。ただ中国のこのプロセスは始まったばかりで、資本輸出を主導とした対外経済体系の形成への道のりはまだ遠い。
斎藤教授によると、中国の対外直接投資の世界第3位への躍進は、中国企業の国際化の歩みを加速し、外貨準備の為替リスクを減少させることにつながる。中国は現在、約4兆ドルの外貨準備を保有しており、外国に対する直接投資を大幅に増やす能力を持っている。対外直接投資の増加は、外貨資源をさらに効率的に利用し、外貨準備の作用をさらに発揮させ向上させることにもなる。巨額の外貨準備を効率的に使わないのは資源の浪費であり、負担でもある。対外直接投資の増加は、中国企業の国際化の程度を促進し、国際市場を拡大し、中国企業の知名度と国際的影響力を高めることにつながる。
斎藤教授によると、対外直接投資の継続的な増加に伴い、中国の現地での生産と販売は徐々に増大している。これは、大量の商品輸出から来る貿易黒字を減少させ、国際間の貿易摩擦や紛争を有効に緩和し、世界経済の配置を改善することを可能とする。1980年代、米国に対する日本の自動車輸出が急激に増加し、商品貿易の利益が大幅に高まり、日米両国間の深刻な貿易摩擦を引き起こし、両国の政治関係にも影響を及ぼしたことがあった。日本の自動車メーカーはその後、米国現地に積極的に投資し、工場を設けて自動車を生産し、日本の自動車メーカーの米国市場におけるシェアを拡大しただけでなく、大量の輸出による自動車貿易摩擦を解消した。中国と米国は、太陽光発電材料や炭素・合金鋼線材、シームレス鋼管、ステンレスシンクなどの貿易で摩擦を経験してきた。中国とEUの太陽光発電材料にも貿易摩擦が存在している。中国が一部の生産能力をこれらの国に移転して現地生産を進めれば、双方間の貿易摩擦が緩和される望みがある。