米国経済の回復の流れは確定的となっているが、データには変動が見られる。ユーロ圏と新興経済体の回復が緩慢で、米ドルが資金のリスク回避先になっている。中米の正反対な金融政策による影響についても観察が必要だ。中米の金融政策の差は、域内外の資本流出の変動と為替の変動を拡大する。域内外の金利差の縮小、国内経済の低迷の圧力、不動産市場の低迷、人民元の為替予想のばらつきは、外貨準備の増加にとって不利だ。9月末の外貨準備高は3兆8900億ドルで、6月末より1000億ドル減少した。今後もドル高が続けば、資金流出の圧力も拡大する。
来週発表される第3四半期のGDPなどのデータも、予想を下回る可能性があり楽観視できない。このほど主要マクロ経済指標に疲弊が見られ、企業が生産経営活動に参与するための期待感と動機が不足している。今後も生産能力と製造業のモデルチェンジ・グレードアップが続けられるが、リスク要因を無視できない。不動産市場の調整は、固定資産投資の増加を妨げる重要な原因であり、今後も増加率の低下が予想される。需要の疲弊により、石炭、非鉄金属、鉄鉱石などが減産に直面している。資源開発業界および川上の製造業界の投資の増加率が急低下しており、マイナス成長に陥る恐れもある。工業関連分野はデフレの状態にある。