しかし、製造業の海外生産が進んでいることで円安でも輸出が増加していない。むしろ輸入燃料価格の上昇で貿易赤字が急速に膨らんでいるのが現状だ。9月の貿易赤字は9583億円(1ドル108円で計算)とこれまでの四半期の中で過去最高、27ヶ月連続の赤字となっている。円安による輸入インフレは個人消費を落ち込ませるだけでなく、海外の日本企業の経営にも影響を与える。
これらの企業は円安と海外労働力のコスト上昇というダブルのマイナスによって、収益機会が大幅に落ち込んでいる。このほか政治資金問題による就任後わずか1ヶ月の小渕経済産業相の辞任も、政府の今後の経済運営をより難しいものにしている。政府は経済全体は回復に向かっているとの見方を示しているものの、実態は低迷が続いている。