一方、経済学者は多元的マクロ経済目標における改革促進とリスク防止の問題をより重要視する。中国社会科学院蔡昉副院長は、新常態を迎える際にやらなくてはならない最重要事は、いかに人口ボーナスを改革メリットに変化させることだと話した。氏は、「ある学者の試算によると、農民出稼ぎ労働者が都市部で滞在する平均年数がわずか9年間しかない。戸籍制度の問題は労働力の供給を制約し、労働力が不足になる。したがって、農民出稼ぎ労働者の市民化による新しい都市化推進法を中心とした戸籍制度の改革は改革メリットを直接もたらすことができ、一石三鳥の効果がある」と分析し、次のように提案した。①農民出稼ぎ労働者が都市部でより安定な社会保障を得られるようにさせ、労働力の供給を直接増やす。②農民出稼ぎ労働者を生産性の低い農業部門から生産性の高い部門へ転換させ、生産性を向上する。③農民出稼ぎ労働者がより十分な雇用・充実した社会保障が得られるようにさせ、それに伴い所得が増え、巨大な消費ニーズが生まれ、マクロ経済も一層安定化する。
中国華融資産管理株式有限会社頼小民社長は、改革を通じてリスクを防止することに特に重視しなくてはならぬと強調。頼氏は、「産融連携(産業と金融の連携)を強化し、特に金融改革に力を入れ金利の市場化を実行し、多層的金融市場システムを真に確立させるようにすべきだ」と意見を述べ、「中国における直接融資と間接融資の割合差が非常に大きい。現在、企業融資は主に銀行に頼っている。今年8月まで銀行全体の資産総額が162兆7000億元に達しており、銀行・証券・保険・ノンバンク・シャドウ銀行という5つのブロックの資産総額の9割以上も占めている。その比率を下げなくてはならない。一方証券と保険の比率を上げるべきだ。言い換えれば、つまり間接融資の割合を下げ直接融資の割合を増やすべきだ」と強調した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年11月21日