▽教科書どおりにいかないのが実際経済▽ 教科書的に言えば、金融緩和政策には3つの効果があるとされる。▽円安による輸出促進、▽株価の上昇とそれによる企業の投資拡大、
▽インフレによる消費刺激、である。しかし物事にはプラスもあればマイナスもある。円安は輸出を促進させるが、製品輸入コストを引き上げ、企業の投資と個人の消費意欲を減退させる。最近の調査では、日本の中小企業の60%以上が「円安のせいで苦境に陥っている」と答えている。
日本から海外へ行く旅行者の数も四半期ベースで3%以上減少している。株はアベノミクスが始まって以来、7割を超えて上昇し企業の投資マインドをいくらかは刺激した。
しかし株高の実態は、投資家の投機的売買の結果であり、企業利益の上昇とはあまり関係ない。株価をいくら刺激しても、実物投資や経済成長には結びつかないということだ。