日本経済の復興が遅れていることから、安倍晋三首相は11月中旬、2015年10月に予定されていた消費税率の再引き上げを、17年4月に18カ月先送りすることを決定。理由として、予定通りに消費増税を行えば、国内の消費により深刻なマイナスのダメージを与え、政府の財政状況を悪化させ、日本の長年にわたるデフレ対抗の努力に対する打撃になることを挙げた。
だがHSBCの日本担当エコノミストのデバリエいづみ氏は、「長期的にみて、最も悩ましい問題はなんといっても個人消費の回復ぶりが来年の経済成長をささえるほど力強いものであるかどうかという点だ。個人消費は少なくとも新年度前に好転することはない」と指摘する。
第3四半期のGDP2次速報が予想を下回ったことが、安倍首相にとって深刻なダメージであることは間違いない。経済成長が停滞し、閣僚のスキャンダルが次々発覚する中、安倍首相は11月に消費増税の先送りを理由として、任期を2年残して衆議院の解散に踏み切り、野党勢力の協力準備が整わない前に選挙を勝ち抜く作戦に出た。安倍首相は、総合的な経済政策である「アベノミクス」は日本の景気回復と安定成長の軌道を推進する唯一の道であると強調。だが、このたびの人々を失望させた2次速報から、日本経済の情勢は予想よりもずっと厳しく、支持率が低下を続けるアベノミクスに再び疑問符が突きつけられることは確実であるとわかる。
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