中国商務部(商務省)の発表したデータによると、今年1月から10月までの日本の対中直接投資額は実質36.9億ドル(1ドルは約119円)で、昨年同期より42.9%減少した。日本のメディアなどでは中日関係の悪化が投資額減少の原因だとの報道もあるが、日本の日中経済協会の岡本厳理事長は10日、「環球時報」の主催した中日韓3カ国の取材団に対し、両国間の政治的要素は投資減少の主因ではないとの見方を示した。環球時報が伝えた。
日中経済協会は、中日国交正常化の1972年に設立された。会員の多くは日本の経済界のキープレイヤーで、トヨタや日産などの自動車メーカーや三井住友などの財団、新日鉄やNECなどの大企業も名を連ねる。東京の中心部にある本部ビルでの取材では、日中経済協会の関心が、対中投資と中国経済の動向ばかりではなく、中国の法治化や改革の動向などの重大問題にも及んでいることがわかった。
岡本理事長の分析によると、日本企業の対中投資の減少は、日本政府の制限措置によるものではなく、企業の独自の判断によるものと考えられる。政治的要因は排除できないが、より重要なのは経済的要因である。まず、中国の労働力コストは年々高まっている。これには労働者に支払われる賃金の増大だけでなく、社会保障費用の増大も含まれる。日本円の中国元に対するレートは下がり続けており、日本での製造コストが中国での製造コストを下回る製品も出てきている。そのため一部のプロジェクトは日本での製造を選び始めている。さらに、中国のビジネス環境に不安を持つ日本企業も多い。主な問題は制度にかかわるものだ。中国にはまだ、政府による許可や認可などの制度が存続し、地方にはさらに非公開のルールもある。これには法律体系の問題も含まれる。こうした状況では、日本企業は中国での投資の見通しをなかなか立てることができない。中国共産党がしばらく前に開いた四中全会(中央委員会第4回全体会議)では、法治社会の構築が提起された。日本の経済界はこの提案を非常に重視し、中国の法律の条文がさらに明確なものとなることを期待している。このほか、日本企業は、中国政府が企業の知的財産権に対する保護を強化することを希望している。中国経済は高付加価値の方向へと発展しており、進んだ技術や経験を必要としている。長年積み上げてきた経験や技術が知財権保護を受けることがわかれば、日本企業もさらに大胆に中国に投資できるようになる。