2012年から2014年まで3年間にわたってGDP成長率目標を7.5%に据えていた中国は、今や緩やかな景気減速局面に直面している。大きな景気回復が見込めない中、2015年GDP成長率目標の7%への引き下げが余儀なくされる可能性がある。CPI上昇率については1.8%前後になる見込みだ。景気対策が功を奏することに伴い、不動産市場が回復に向かい投資も落ち着くだろう。そして、アメリカ経済の力強い回復が中国の輸出産業が持ち直す上でのプラス要因になると見られる。
2014年、経済成長の持続的鈍化やデフレリスクへの対策として、中国人民銀行(中央銀行)は11月に利下げに踏み切った。しかし、経済の安定成長やデフレ阻止の面の効果は明らかではなかった。
2015年を展望すると、中央銀行は時期を見計らってさらに金利や預金準備率の引き下げに踏み切る公算が大きいが、米連邦準備理事会が今年のある時点で利上げに踏み切る可能性があり、それに関連する資本の流出、為替レートの変動などの動向に配慮することが必要となる。年間を通じて流動性は相対的に緩和されつつも、需要低下や金融機関リスク選好の後退及び金融バブルへの警戒で、信用拡張は相対的に穏やかになる。
成長維持という圧力への対応策として、2015年には財政政策の出番が多くなるだろう。「一帯一路(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)」、「京津冀一体化」、交通、環境保護、保障的住宅、農地水利、原子力発電所建設といった分野は財政政策の主要注力分野となる。