人民元は海外進出すべきであり、中国経済そのものの世界における影響力が必要なだけでなく、人民元の世界的な運営にサービスを提供できる金融機関がよりたくさん必要になる。こうした金融機関はどのような背景で設立されるにせよ、人民元の国際化にとって必ず戦略的な意義をもつ。AIIBは今は主に米ドル建てで資金を募集しているが、長期的には中国が主要出資国として、人民元の国際化がある程度のレベルに達した時に、人民元を投資通貨として選択することが可能だ。
アジアのインフラ建設分野の多くでは、投資する人が誰であれ、中国企業が関与する可能性が非常に大きい。業界専門誌「中国工作機械」が発表した「2013年のグローバル工作機械メーカー50社番付」では、中国企業が11社を占める。中国が港湾、空港、鉄道、エネルギー、電気通信などのインフラの建設・運営の分野で示してきたコストなどの競争力は高く、関連国に人民元のストックやキャッシュフローがあれば、中国の企業を直接雇用してインフラの建設・管理・運営を担当させることができ、そうなれば人民元の需要が高まるだけでなく、人民元の価値も増大する。人民元が国際化すれば「貿易決済通貨」から「外貨準備ニーズに応える通貨」への移行という次のステップに進むことが可能になる。