藤本氏は、「自動車産業はサッカーのような多能型の選手に適している。ネット産業は野球のような分業型の選手に適している。まず自分の強みを認識してから、得意な方を選択するべきだ」と提案した。 中国で人件費が高騰、生産性が追いつかず 藤本氏によると、中国の製造業は苦境に直面している。日本との賃金の差が縮小しているが、生産性がそのペースに追いついていないというのだ。
藤本氏のデータによると、中国の工場の組立工の賃金は、20年前ならば日本の20分の1であったが、現在は5分の1だ。溶接など高い精度が求められる持ち場ならば、日本の3分の1になっている。
藤本氏は、「20年前であれば、生産性が低くても、安価な人件費により中国の輸出の優位を維持できた。中国の当時の優位は、同じく輸出大国の日本を不利な状況に追いやった。しかし逆境を迎えた日本は、この20年間で生産性を高め続け、現場の工場の組織力を鍛えた」と述べた。