それから、AIIBの重要な投資先は、アジアの発展の需要に合致する。富を築くためには、先に道路を作れとよく言われる。インフラ整備はAIIBの中心的な投資先となるが、これは既存の国際開発金融機関の貧困削減という主旨とは異なっている。AIIBの設立は、アジアのインフラの全面的な相互接続の融資能力を大幅に高め、アジアの地域経済一体化を力強く促進する。
米国の態度は、AIIBの発展に影響を及ぼす重要な要素だ。米国がAIIBの準備に横槍を入れようとするのは、中国の動機を疑問視しているからだ。世界金融危機後、中国は国際通貨基金および世界銀行の改革を加速するよう提案してきた。しかし米議会の妨害により、改革には実質的な進展がなかった。また中国のGDPは2014年に日本の2倍以上に達したが、日本のアジア開発銀行の投票権は中国のほぼ2倍で、かつ総裁は9代連続で日本から就任している。これにより中国は自国の責任を果たすため、AIIBを設立しアジアのインフラへの融資を拡大させることになった。
米国はまた、中国の世界管理能力を警戒している。米国は近年、TPP、BIT、TISAを推進し、高水準の旗印を掲げると同時に、中国主導のAIIBが異なる方針を取ることを懸念している。しかし英国、ドイツ、フランス、イタリアなどの西側の大国、ロシア、インド、インドネシア、ブラジルなどの新興の大国の積極的な加入は、国際社会のAIIBの管理能力・高水準に対する信頼を十分に示している。
米国は「発展」をテーマとする大国の責任を担おうとしていない。「発展」は主に、発展途上国から先進国への経済・社会制度および構造の移り変わりに関わってくる。WTOのドーハ・ラウンドが開発・アジェンダとも呼ばれるのは、その協定が開発を促すからだ。しかし米国は相応の責任を担おうとせず、ドーハ・ラウンドが苦境に陥ることになった。中国が設立を提唱するAIIBと一帯一路の建設は、開発途上国の経済発展の支援を中心的な目的としている。これは中国と米国の、世界管理方針の最も異なる点だ。中国はアジア・世界の調和的な発展、持続可能な発展、包括的な発展のモデルを貫く。中国の提唱は、より多くの支持を集めるだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年4月11日