超高級ブランドであるシャネルグループは、2015年4月8日より世界規模で価格調整を行う。シャネル、ルイ・ヴィトン、エルメスは高級ブランド業界の頂点に立つ存在だ。この御三家はアウトレットで売られることもなく、割引もしない。それどころか毎年値上げを続けてきた。自らのブランドイメージを頑なに守り続けてきたのである。
シャネルが値下げをするというニュースは、瞬く間に世間に広がった。中国市場での値下げ率は20%。単なる短期的調整ではない、象徴的な戦略転換といえる動きだ。シャネルが中国市場で値下げをする理由にはどんな背景があるのか。今後どのような連鎖反応が起こるのか。多くの人が固唾をのんで見守っている。
プライドを脱ぎ捨てた値下げ
プラダは3月30日、2015年1月31日までの年間業績を発表した。売上は前年度比でマイナス1%と小幅減少だったが、利益はマイナス28.2%と大きくダウンした。
現在、中国国内の贅沢品市場はますます冷え込んでいる。シャネルが値下げする前から超高級ブランド専門店の売り上げは落ち込んでいた。
2013年よりパテック・フィリップ、ヒューゴ・ボス、ブシュロン、D&Gが撤退しているほか、10年以上も根付いてきたジョルジオ・アルマーニの旗艦店すら、上海から姿を消した。2014年、ヒューゴ・ボスは中国の7店舗を閉鎖。エルメネジルド・ゼニアは6店舗、バーバリーは4店舗など、中国市場で贅沢品は隘路に迷い込んでいる。
欧州市場より30~40%割高であるため、中国市場では特に敷居が高い。そのため売上は徐々に低下してきた。しかし中国のブティックは閑散としている一方、ヨーロッパのブティックでは中国大陸からの消費者でいっぱいだ。まとめ買いされる商品すらある。業界筋は「これではブランドイメージが毀損してしまう。中国で安定した顧客作りをする機会を失ってしまう」、「中国国内を含むアジアの店舗での価格が下がってこそ、中国国内消費者は自国で消費するようになる」と指摘している。値下がりするのには理由があったのだ。