第三に、基本方針である健全財政計画は、2020年度までに国債発行や増税なしに基礎財政収支の黒字化を実現するのを目標としている。しかし財政支出額の上限を設定しておらず、またそもそもこれは「目標」でしかない。しかも実質経済成長率が2%という楽観的な観測は、良好なスパイラルから税収の増加を見込んだものである。2017年4月に導入される消費税増税による消費意欲の減退などを無視したものだ。
最後に、これは特に注目されることだが、第一次ベビーブーマー世代が2020年には「高齢化後期」の75歳になる。年金や医療、介護といった社会保障負担のさらなる増加が見込まれており、財政支出額の増加は避けられない。政府および地方自治体の債務はGDPの2倍に膨れ上がっており、債務危機にあるギリシャより厳しい状態だ。これらの問題に対し、健全財政計画は具体的政策を提示していないことから、実行してもその効果は怪しいものとなる。
専門家は、経済成長と健全な財政収支の促進は日本にとって困難な道のりになると指摘している。アベノミクスの成功を心中で疑っているのは、日本の企業家や大衆だけではないはずだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年7月10日