李克強中国国務院総理は2015年6月28日から7月2日にかけて、第17回中国・EU首脳会合出席のためブリュッセルを訪れ、同時にベルギー、フランス、経済協力開発機構(OECD)本部を訪問した。今回の訪問は、世界経済の回復力が弱く、ユーロ圏がまだ債務危機の苦境から脱出できず、中国経済が新常態に入っているという環境の下で行われたものだ。また、2015年は中欧外交関係樹立40周年にあたる年でもあり、40年の間に中国と欧州のいずれにおいても巨大な変化が起きた。中国は改革開放政策の実施から30年余りの高速発展期を経て、世界第2のエコノミーまで成長してきたが、欧州も12カ国による欧州共同体から28のメンバー国を有する世界最大の超国家集団に発展してきた。このような背景の下で、中欧双方による中欧関係のグレードアップ版作りは双方の利益に合致することだけでなく、世界経済のすう勢にも深遠なる影響を与えることになると見られる。
経済・貿易関係は中欧関係安定化における「バラスト」と「安定器」となっている。中国経済の持続的中高速成長とEU経済の長期的不景気という背景の下で、中欧協力の内容や方法の修正が当面の急務となっている。長い期間にわたり、中国とEUは互いに最重要な貿易パートナーだが、双方の経済・貿易協力は主に「モノの貿易」に集中しており、相互投資と産業協力などの面でなお強化する必要がある。近年、中欧間で経済構造の相互補完性の縮小、産業競争の熾烈化、貿易拡大の減速に見舞われているが、中欧経済・貿易関係の今後の発展に新たな原動力を注入するには、中欧経済協力の全面的なグレードアップの達成が必要不可欠である。