技術的なサポートだけでなく、良い映画の胆となる部分にはストーリー性が不可欠だ。「大作」には多大な制作費用を投資していると多くの人は知っている。しかし、「捉妖記」の脚本家である袁錦麟氏は「大作のほとんどは大きなアイディア、大きなスケール、大きなコンテンツだ」と語る。「帰ってきた孫悟空」と「捉妖記」はともに中国の伝統文化からエッセンスをくみ取り、現代的なアイディアやイメージを発揮して、「中国の物語」を綴っている。また「捉妖記」には、「胡巴」(フーパ)をオリジナルの主人公として、「妖怪」の固定観念を打破した。ストーリーとアイディアに回帰する、これが中国映画が向かっている方向でもある。
国産映画の翼となったインターネット
中国において30年近くの時間をかけてインターネットは発展してきた。またその影響を受ける世代は映画市場における主要な観客層として成長している。「帰ってきた孫悟空」はたくさんの若いアニメ愛好家の関心を集め、「捉妖記」の人と妖怪が交差する非現実的なファンタジーストーリーは若者の好みに完全に合致する。これらのテーマの映画に備え、コアな視聴者が準備できたのは、まさにインターネットの発展によるものだ。「捉妖記」が7年早く制作され公開されていたら、おそらく中国の観客はまだ準備ができていなかっただろう。