◆ 日中ロボット産業協力の可能性現在、中国では経済・社会発展に伴い社会のスマートを進めつつある。中国の重要な国家的経済政策である「発展方式の転換」実現のための一手段として、「インターネット・プラス(互聯網+)」という言葉が話題を呼んでいる。この言葉は、今年3月に開催された全国人民代表大会の政府活動報告で、李克強国務院総理が提唱したものだ。科学技術の創新(イノベーション)を効果的に活用する意味でも、このインターネット・プラスは重要な役割を果たすことになる。ロボット開発の現場ではプログラムの作成や各種アプリなどのソフト分野での重要な要素であり、ロボットの電子頭脳の中に組み込まれていく。
そして、それがネットと連動して情報の共有化を図ることになる。一方で、目的に合わせたロボット本体の材質や骨格などの形態、推進力や関節の動き等の運動能力、さらにはロボットを動かす動力源の開発など、ハード面でもより進化させていく必要がある。ロボット開発において、最も難しいと思えるのは、それぞれが高度に発展し続けているソフト、ネット、ハードを齟齬なく融合させることであろう。
最近、私自身、中国の地方政府と交流する機会が多い。地方政府関係者からは「製造業とサービス業の融合」、「経済と社会の融合」、「社会とインタネットとの融合」といった言葉が聞かれ、こうした分野で日本との協力を求められる。ソフト開発者、ネット管理者、ハードの担い手は同じ人物ではない。日本の先進技術の発展の基礎は、それぞれ別々に開発されたソフト、ネットシステム、ソフトを如何に上手に融合させることにあるのかもしれない。この点は中国人が最も苦手とするところで、高い能力を有する一人一人の中国人を活かしきれていない所以でもある。