中国で海外旅行者数は増加の一途を辿っている。統計によれば、今年上半期の海外旅行者数は前年同期比13%増の延べ6190万人に上った。経済成長の鈍化、株式市場の急落、加えて先ごろ天津市で起きた爆発事故など、中国にとって今年は困難な1年とも言える。にもかかわらず、海外旅行者の伸びに減速の兆しは見られない状況だ。これについて、米国の経済誌・フォーブスは5つの要因があると分析した。
(一)株式市場の乱高下が富裕層に与える影響は限定的だ。相場の急落で大損を被ったのは、投資経験の浅い個人投資家が多い。上位5%の富裕層は依然として海外旅行を楽しむ充分な財力を維持している。プーケット島やカルフォニア旅行のために数千米ドルを使っても富裕層にとって大した出費にはならない。また、経済成長率の鈍化にともない、中国の富裕層による高級ブランドの消費は確かに縮小傾向がみられているものの、マセラティといった高級スポーツカーやブレゲの腕時計に比べ、海外5つ星ホテルの宿泊費は安価なものに過ぎない。
(二)天津市浜海新区の爆発事故を受け、環境汚染への不安が増すなかで海外旅行の魅力が一層高まる。実際、爆発事故による地下水の汚染や、長期的な健康被害は発生しないかもしれないが、環境への懸念を増大させる出来事となった。これまでも、“清潔”と“安全”な環境で休暇を過ごすのが海外旅行の大きな魅力の一つ。この魅力は今後、さらに増しそうだ。