実際のところ、人民銀行によるこの時期の「同時引き下げ」は想定内のことだった。中央銀行研究局の陸磊局長は「国際経済の低迷と外需の変動という背景の中、中国が内需拡大を政策の主方向にするのは『時宜にかなっている』。また、預金準備率の引き下げは、実際には金融体系に無期限の流動性を供給するもので、マネー・マーケットの変動に対する金融機構の流動性管理能力を効果的に高めることができる。金利と為替政策のつり合いという観点から見ても『時宜にかなっている』」と指摘する。
中国国際経済交流センター経済研究部の徐洪才部長は取材に対し、「41ヶ月連続の生産者物価指数(PPI)マイナス成長から見ても、最近の広義マネーサプライ(M2)増加率から見ても、人民銀行が適度に市場の流動性を開放し、実体経済を支えることは必要な策であり、比較的緩和的な金融環境を整え、安定成長の『困難な闘い』の時期を乗り越えるのに役立つ」と語った。
■人民銀行の発表を受け、世界の株式市場が上昇
実は、国内外の市場は中国人民銀行が措置を講じるのを長らく待ち望んでいた。人民銀行が「同時引き下げ」の情報を発表すると、世界の株式市場は軒並み上昇した。北京時間午後9時30分の時点で、ダウ平均株価は149.65ドル高(0.94%高)となり、ナスダック総合指数は156.77ポイント(3.46%)高、S&P500種指数も25.71ポイント(0.46%)高となった。欧州株式市場も勢い良く上昇し、パリCAC40指数、英FT100指数、ドイツ・フランクフルトDAX指数の25日の上昇幅はいずれも3%を上回った。
ゴールドマン・サックスはかつて、中国経済の今後について過度に恐れる必要はなく、S&P500種指数は年末までに11%上昇し、2100に達するとの見方を示していた。人民銀行の「同時引き下げ」が発表されると、ゴールドマン・サックスは「今回の措置により約6000億元の流動性が供給される」との見通しを発表した。