工期面でも中国が優位に立つ。昨年に就任したインドネシアのジョコ大統領は、任期満了を迎える2019年までに高速鉄道の完工を希望。これに対し中国は、「15年9月着工、18年竣工」を承諾している。
ジャワ島の高速鉄道計画について、新幹線の安全性や耐震性をアピールする日本は有力な受注候補とされてきた。一方、中国は昨年秋ごろから攻勢を強めている。中国指導者は今年3月と4月、ジョコ大統領との会談で「トップセールス」を展開。双方は技術協力をめぐって合意に達し、最終的には今回の計画提案書を取りまとめた。
中国はアジアを横断する「一帯一路」(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)経済圏の構築を推進している。インドネシアにも参加を求めたい立場。高速鉄道の建設を足掛かりに、インフラ建設で両国のつながりを深めたい考えが背景にある。国家開発発展委員会の徐紹史・主任は11日に行われたインドネシア政府関係者との部長級会談で、「インフラ開発プロジェクト一覧表を提示すれば、インドネシアが自由に利用できる巨額融資を中国は提供する用意がある」と述べた。
経済成長にともない、インドネシアでインフラ建設の需要が拡大。このため、中国の潤沢な資金はインドネシアにとって魅力的だ。また、インドネシアは、中国が主導して設立するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーでもある。あるインドネシアの経済学者は、「インフラ開発でインドネシアは中国と“相思相愛”の関係にある」と話した。