◆ 融合における日本企業の役割
この「融合」という発想だが、新しいようでいて実は旧い考え方でもある。科学が今のように複雑に細分化される前は、全体を見るしかなかった。科学が進歩するにつれ、より専門的が進み、逆に全体を俯瞰し、調整する発想が薄らいでいった。今後の科学的発想として必要なことは、より専門的な分析を踏まえた上で、全体を俯瞰し、調整する機能を高めることにある。日本企業にとって、融合は最も得意とすべきところだ。日本では古来の「和」の精神が活き続けてきており、日本人は気付かないうちに融合を体現している。
例えば、ビジネスが企業単位で行われていても、そのビジネスを取り巻く環境や産業チェーンの流れの中で、企業同士の連携が自然と形成されてしまう。そこに日本独特の「モノづくり」や「オモテナシ」の伝統的なビジネス手法が出来上がる。今、パッケージ化されたシステム提供という新たな中国ビジネスモデルの構築には、こうした日本特有の精神を充分に理解してもらうことが前提となり、その実現には相当の時間と労力を要するだろう。しかし、この前提がクリアできなければ、新たな時代の変化の中で取り残されることになる。