▽市場の争奪
三菱航空機は同機で世界市場に進出することを望んでおり、ブラジルのエンブラエル社、カナダのボンバルディア社と中小型ジェット機市場を奪い合うことになる。
MRJは運航経済性、客室快適性、環境適合性などを売りとする。米航空機エンジンメーカー大手プラット・アンド・ホイットニー社(P&W)製のエンジンを搭載し、同タイプの旅客機より20%以上も燃費性能が高い。最大航続距離は約4000キロメートル。
MRJはこれまでに223機の受注を受けており、うち米国のトランスステイツ航空からは100機を受注している。日本国内では、全日空(ANA)と日本航空(JAL)からの受注を受けており、ANAには来年4月、JALには7月の引渡しを予定している。
三菱は将来的に、世界市場で2000機以上のシェア獲得を目指している。
▽ゼロ戦製造で有名な三菱重工が手がける
第二次世界大戦後、米国は敗戦国の日本に航空機の製造を禁じた。しかし、日本の航空工業は1950年代から徐々に復活し始めた。米軍戦闘機の修理に続き、許可証に基づいた米軍戦闘機の製造と自衛隊への配備が始まった。1962年、日本はプロペラ旅客機「YS-11」を開発したが、赤字が拡大し、約10年後に生産を終了した。