2015年11月にトルコで開かれたG20首脳会議、フィリピンで開かれるAPEC首脳会議は、世界経済のガバナンスの変革を促す重要な会議だ。未来の世界経済のガバナンスの願いに関する国際社会の認識は一致しておらず、寛容で開放的な国際ルール・秩序を作るべきか否かに議論が集中している。
米国や欧州の先進国側は、先進国の世界の貿易・投資・金融サービスにおけるルール作りの主導権の維持に目をつけている。彼らはより高水準の経済ルール作りという旗印を掲げ、国内ルールを他国に押し付け、人為的にさまざまな新規則の障壁を設置している。これにはTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資連携協定)などの構築の推進が含まれ、新興国と多くの発展途上国の国際協力にハードルを設置し、障害をこしらえることに力を尽くしている。はっきり言えばこれは開放を名義とする保護主義であり、本質的にはグローバル化の時代の「新経済封建主義」だ。これは世界の各国を差別化する、新たな規則による保護主義だ。
対照的に、中国を始めとする新興国は多くの発展途上国の声を反映し、すべての形式の保護主義と差別的な政策の打破を求め、世界ガバナンスの不公平で不合理な枠組みの変革を推進している。
新たな開放と封建の駆け引きは、G20とAPECの主軸となる。関連国はこの主軸を巡り、各自が関心を寄せる議題で異なる答えを導き出すだろう。各国の同問題における政策的な立場は異なるが、全体的には3つの基本的な態度が示されている。(1)伝統的なG7は、いわゆる「より高水準の国際ルール」の制定を強調している。これは主に発展途上国と新興国にルールの壁を設置することが狙いだ。(2)BRICSを始めとする新興国と発展中の大国は、主に発展途上国のグローバル・ガバナンスにおける発言権と影響力を高め、寛容・開放・協力・ウィンウィンの開放的な経済体制の構築、より自由で便利な貿易・投資枠組みの構築による、グローバル・ガバナンス改革を推進しようとしている。(3)上述した両サイドの各国のうち、韓国、オーストラリア、トルコなどは先進国のグループに加わろうとし、かつ新興国と発展途上国における利益を損ねようとしておらず、双方を結びつける「中等の力」、「中間の力」になっている。世界の経済秩序および地域内の協力枠組みの未来は、この新たな「三つの陣営」の動きによって左右される。G20もAPECも、この新たな三つの陣営の動きを反映する。
当然ながら、この新たな三つの陣営が最終的にどのような世界秩序を構築するかは、1度や2度の首脳会議で明らかになることではない。この3つの陣営の駆け引きは、今後長い期間に渡り世界の一つのテーマになる。より重要な問題は、関連国が具体的な問題で進展を実現できるかだ。これには自由貿易協定、投資の利便性の向上、経済の安定成長と雇用機会の拡大、汚職撲滅や脱税防止などが含まれる。着実な努力によって、具体的な問題の解決を続けることで、初めて公平かつ合理的なグローバル・ガバナンスを構築することができる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年11月17日