◆ 欧米流からアジアスタンダードへ
関税及び貿易に関する一般協定(GATT)の時代から続く現在の貿易体制は、WTOやFTAなどと形を変えても、依然として欧米流の仕組みの下に作られた体制であり、これが全世界の一般的な枠組みとなっている。現在交渉の進展がみられるTPPでさえも、大きな発想の転換をしない限りその性質は同じになってしまう。その点、FTAAPについては具体的な形がまだみえてきていない。
今後、経済規模の大きいアジア諸国が主導して進めようとするならば、従来の欧米流の仕組みに拘る必要はない。近年、習近平政権が進めるアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設や一帯一路構想など独特の体制を提唱する背景には、現在の経済体制では経済の世界的な行き詰まりを充分に打破できない現状を冷静にみているからではないだろうか。
アジアの一員でありながらも、明治維新以降、欧米流の制度や仕組みを導入し、近代化された社会を形成してきた日本だが、近代化を進めることによって逆に多くの矛盾も生じてきたことは否めない。欧米流の良きところは活用するとしても、行き詰まりをみせる世界経済活性化のためには、もう一度アジアの発想法に目を向ける必要があるように思える。
(本稿は筆者個人の意見であり、所属機関を代表するものではありません。)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年11月18日
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