市場関係者は、市場の人民元先安感は濃厚だと指摘。米ドルの上昇圧力が高まるなか、人民元は下落圧力が続くと予想する。しかし「人民銀行による介入も懸念されるため、人民元先物の空売りは比較的慎重に行われる」と予想する。短期的には、人民元相場は一段の大幅安となる可能性は低いとみている。
「人民銀は元安圧力を徐々に放出する可能性もある」と指摘する関係者もいる。人民元相場は直近高値の6.3175元から約1000ベーシスポイント下落し、前週末は人民銀行も6.4元台の元安水準を容認した。「最近は人民銀行の為替介入への力の入れ方が明らかに弱まっているが、上記の見方が背景にある」と予想する。
このほか、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)開催を控え、市場では人民元の対米ドル相場は一定の元安圧力に直面するとみられている。
UBSの汪涛チーフエコノミストは、人民元のSDR採用後、人民銀行による短期為替レートの調整余地が拡大するが、直ちに明らかな元安となる可能性は低いと予想する。大幅な元安による大規模な資本流出や、元安期待の拡大などが懸念されるためだ。また、世界的な需要の弱さを背景に、他の新興国も追随して自国通貨を安く誘導する可能性があるため、元安による輸出の押し上げ効果は限定的だとみている。