経済協力開発機構(OECD)は11日に発表した最新リポートで、中国経済は安定に向かっていると指摘した。2015年11月の中国の景気先行指数(CLI)は98.4で、10月の98.3から上昇。2カ月連続で上昇傾向にあるため、中国経済は「一時的な安定化の兆候」が見られるとしている。中国の景気先行指数は、中国の経済成長が大幅に鈍化する可能性が低いことを示しており、政府や投資家、企業が懸念しているようなハードランディングの可能性も低いことになる。
中国政府の経済指標からもマクロ経済の下振れ傾向が弱まりつつあることがわかる。政府が改革推進を加速していることを背景に、市場のリスク選好度が上昇する見込みだ。国家統計局が発表した2015年12月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.7と前月の49.6を0.1ポイント上回った。非製造業PMIは54.4と上昇が続いた。これらの数値から、供給側、需要側ともに回復傾向にあることが明らかになった。消費需要は伸びが続いており、消費関連の製造業は安定成長している。産業構造の高度化も進められており、生産の回復に伴い、企業の購買意欲もやや強まっている。
このほか、中国の経済成長のファンダメンタルズは、依然として人民元為替レートにとって長期的な下支えとなる。輸出は貿易黒字が続いている。2015年1-11月の貨物貿易の黒字は5391億米ドルに達し、内在的な元安の必要性は高くない。また、米国の追加利上げ観測による影響もほぼ織り込み済みとなった。人民元の国際化も安定的に進んでおり、通貨価値の安定維持につながる見通し。