アップルやゼネラル・モーターズなどのグローバル企業は、人件費が最も安い国に工場を建設している。これまで最優先で選ばれていた国は、中国だ。しかし中国はこの有利な立場を失いつつある。人件費が以前ほど安くなくなったからだ。中国の製造コストは、2010年以降に年平均で約16%上昇しており、伸び率で世界のすべての国を上回っている。急速な高齢化、労働者の生産効率の向上もその主因だ。
中国の指導部は1970年代、人口が余る懸念により、一人っ子政策を発表した。その結果、40数年後には急速な高齢化、適齢労働人口の減少が生じた。外国が必要とする製品を生産する中国の労働者が減少を続けている。
数は減っているが、新世代の労働者の作業効率は前の世代を上回っている。マッキンゼー・アンド・カンパニーによると、中国の労働者の生産効率は2007−12年に年平均で11%向上した、タイは7%、インドネシアは8%。労働者は生産する製品が増えれば、高い賃金を求めるようになる。続騰する人件費により、グローバル製造メーカーは人件費が安い国を探し始めた。KPMGのデータによると、外国の中国製造業への直接投資は、2010−14年の間に20%減少した。