中国は1970年代から、国内半導体産業の育成に取り掛かっている。しかし、いまのように意思が強く、多額な予算を投じることはこれまでになかった。中国政府は1990年代後半から同産業の発展に力を入れてきたものの、モルガン・スタンレーの試算によると当時の投資額は10億米ドル未満だった。一方、2014年に発表されたロードマップでは、中国では今後、政府と民間を合わせて1000億~1500億米ドルの資金が半導体産業の発展に投じられる見通しだ。米国メディアのStarTribuneが伝えた。
中国の半導体産業技術が2030年までに世界一流企業を追い越し、輸入への依存を低減するのが狙い。中国政府は昨年、国内のICチップ需要に対する国産率を70%に引き上げるという新たな目標を掲げた。その実現は決して容易ではない。昨年に中国の製造業で消費したICチップは金額ベースで1450億米ドルに上るが、国産品はその10分の1に過ぎなかった。目標の実現に向け、中国政府は外国から利用できる技術の取得が急務だと認識。ここ数カ月にわたって、中国の国有企業や機関は海外ICチップ企業の買収や投資に乗り出している。
外国技術に過度に依存している現状を踏まえ、中国政府は国内の半導体産業の発展を重要な発展戦略の一つに据えている。ただ、一部機関の調査によると、ICチップの実際の貿易赤字は、統計データが示した数字の半分にとどまっている。中国の工場で消費したICチップのなか、アップルのiPhoneや、聯想(レノボ)のPCなど、相当な部分は国内へ再輸出している。それにしても、半導体産業の発展促進策は、中国政府が描いている壮大な経済成長モデル構造転換策と密接な繋がりを持つ。