新しいビジネスモデルには従来型制度との衝突があるが、管理面の寛容度が不十分である。上海金融法律研究院の執行院長である傳蔚岡氏は、ネット配車サービスを例に挙げつつ、「ユーザーがネット上で行うリクエストと、プラットフォームを利用する運転者がそれを受け入れることを通じて、需要と供給をマッチングさせる。これは、政府がタクシー業務証を発給し、乗客が道で乗車するという従来型のビジネスモデルと本質的な区別がある。現行の規定に基づけば、ネット配車サービスは非合法状態にある」と指摘する。
同時に、政府の情報公開が不足していることも、O2O産業の発展を阻害している。百度発展研究センターの主任である黄林莉氏は取材に対し、「O2Oプラットフォームにはしばしば、大量の従来型商店が入ってくる。プラットフォームは、商店が提供した工商登録証や衛生許可証などの書類の真偽を確かめる手段を持たない。このことがプラットフォームにニセモノの商店を存在させ、業界の正常な発展を阻害している」と指摘する。
業界筋は、O2O産業は市場が自然に形成されたものであり、O2O産業と政府スローガンの「万人の創業、万人のイノベーション」が有機的に結合すれば、O2O産業は健全に発展できるとの見方を示す。
「政策の寛容性を高め、市場の試行錯誤を許すべきだ」とiiMedia ResearchのCEOである張毅氏は述べる。中国のインターネット産業はこの20年で大きな発展を遂げ、アメリカと肩を並べるネット大国に成長した。理由の1つとして、中国の人口が多いことが挙げられるが、もう1つには比較的寛容な政策とも関係がある。O2O業界の創業やイノベーションにとって、政府による「禁止」や「停止」の規定は、初期段階から業界発展のはしごを外すようなものだ。
傳蔚岡氏は、O2Oという新ビジネス形態に対し、政府は十分な成長余地を与えるべきであり、業界の発展に対し、十分寛容であるべきだとした上で、詐欺など消費者の合法的権益を侵害する行為はきちんと調査しなければならないと述べる。
「基礎的なサービスを強化し、政府のデータを徐々に開放していくべきだ」と業界筋は述べる。大量の企業情報は政府部門が把握している。もし創業企業の審査を通過させるためだけにこれらのデータが必要ならば、彼らたちにとっても資源の浪費だろう。黄林莉氏は、百度のネット配食サービスのようなO2Oプラットフォームがレストランの質を審査すれば、大量の人力と資力が必要となるとした上で、「政府の部門がさらに情報公開を強化すれば、社会コストを節約でき、業界発展を大きく促進させられるだろう」と述べる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年2月10日