過去30年にわたって廉価な玩具、衣料品、雑貨類などを生産する多くの企業が、深センという中国の新興工業都市の発展を支えてきた。しかし、いまは3Dプリンター、電動スケートボード、産業ロボットの製造に舵を切る中小企業が増えつつある。こうした製品は市場の拡大が見込め、視察に訪れた中国の指導者もそれを奨励し、金融面などで様々な政策支援策が打ち出されている。中国政府は産業のグレードアップを通じ、経済の構造転換を促そうとしている。
1970年代に中国の市場改革で先陣を切ったこの都市は今、未来へ向かって歩み出している。砿業や鉄鋼業などを基幹産業とし、不況にあえぐ都市と違い、深センでは中国経済成長の鈍化はほとんど感じられない。
世界最大の電気街と称される「華強北」は活気に溢れている。ある3Dプリンターメーカーは商売繁盛のもようだ。同社の運営責任者は、「3Dプリンターの導入は今、企業が研究開発費を低減させる近道になっている」と話した。