「申年は波乱のスタートとなった。世界経済、特に各国の株式市況が急速に悪化。我が国の経済にとっても大きなチャレンジになり、不確定要素が増している。今の中国経済はすでに世界経済と深く融合している--」。申年春節明けの国務院常務会議で、李克強総理はこう指摘した。
中国銀行国際金融研究所の宗良・副所長は16日、『証券日報』の取材に対し、「足元で世界経済は緩やかな成長にとどまり、先進国の経済情勢は総じて振るわない。米国経済の回復ペースは予想より遅い。日本の景気浮揚策も効果を上げていない。欧州市場をみても、銀行システムのリスクが解消に至らず、経済情勢は良好とは言えない。さらに、新興国の経済成長も減速している」と指摘した。
世界経済の下押し圧力が増すなか、国際通貨基金(IMF)や欧州委員会はそろって経済成長率予測を下方修正。IMFはこのほど、向こう2年の経済成長見通しを引き下げたうえ、重要な課題を適切に処理できなければ、金融危機からの回復基調が途絶える恐れもあると警告した。これを受け、世界経済の健全性を懸念する声が高まっている。今回の改定でIMFは16年と17年の経済成長見通しをともに0.2ポイント下方修正し、世界経済の下振れリスクを指摘している。
これについて宗良氏は、「世界経済の下押し圧力が高まり、世界貿易の伸びが鈍化。これによって中国の輸出を取り巻く外部環境が悪化している」との見方を示した。