中国の李克強国務院総理は3月16日午前、第12期全国人民代表大会第4回会議の閉幕後、人民大会堂の金色ホールで会見を行い、国内外の記者の質問に答えた。
【ロイター通信記者】このところ中国の株式市場と為替市場の変動を海外投資家が注視している。足元の中国金融市場が直面する問題や課題について総理に質問したい。また、金融市場の今後の発展、監督・管理の強化について中国政府はどのような計画があるのか。株式市場、為替市場、債券市場をめぐってどのような重点的な改革措置があるのか。年内に「深港通」(深センと香港の株式取引の相互乗り入れ制度)が開始する予定はあるのか。
【李克強総理】金融は実体経済に先行して問題が発生することが多い。しかし、金融の最も重要な役割は実体経済の発展を支えることだ。金融にとって実体経済の停滞こそが最大のリスク。我々は昨年、利下げ、預金準備率の引き下げ、対象を絞った預金準備率の引き下げなど一連の措置を講じた。これは量的緩和ではなく、マネーサプライを適切な水準に保ち、実体経済の資金調達コストを低減させるのが目的。このため、金融機関は実体経済、特に小企業・零細企業の健全な発展を支えることに注力すべき。実体経済からかい離してはいけない。
もちろん、金融にも自身の法則があり、リスクを防止しなければならない。私はむしろ金融機関の状況に関心を持っている。昨年、一部産業、企業の経営難を受け、金融機関の不良債権比率は確かに上昇した。しかし、我々はリスクを制御する能力がある。商業銀行の自己資本比率は国際基準を上回る13%に達している。貸倒引当金カバー率は180%以上で、我々が設定した下限の150%を上回っている。さらに、市場的手段を通じて企業の負債率を引き下げることもできる。中国では間接金融が中心となっているため、企業の負債率が高いのは以前から存在する問題だ。一方で、家計貯蓄率も比較的高い水準を維持している。総じていえば、市場にどのような変動が生じようとも、多層的な資本市場の発展を進める方向は揺るがない。債務の株式化といった市場的手段を通じて、企業のレバレッジ比率を引き下げることもできる。