多くの中国製造メーカーが海外M&Aに乗り出し、世界の版図を広げている。メイド・イン・チャイナは世界の資源統合に浸透することで、世界の製造業の構造にどのような影響をもたらすのだろうか?
中国の製造業は技術の追随者からリーダーになろうと努力している。国務院参事、中国・グローバル化シンクタンク主任の王輝耀氏は、技術力と自主ブランドの影響力の欠如により、中国家電製品の世界的な市場シェアは長期的に低迷していると述べた。これは中国家電メーカーの海外進出の弱点だ。中国の家電製造業の産業チェーンが成熟化し、一定の技術力・市場規模・資金能力を持つようになると、海外M&Aによってコア技術の競争力を高め、海外市場シェアを拡大する能力を手にした。
ドイツの「インダストリー4.0」、「米国の先進製造業パートナー計画」、日本の「再興戦略」などの戦略が同時に発表された。先進国は技術の進歩と産業政策の調整により、製造業の競争力を取り戻そうとしている。このような背景のもと、中国の製造業大手は世界進出する際に、産業面の世界的な展開、国際交流・協力を強化し、世界の資源と市場を積極的に利用する必要がある。世界の製造業の新たな競争情勢の中、強者連合により新たな比較優位性を形成するべきだ。
国家発展改革委員会対外経済研究所国際協力室長の張建平氏は、「中国の製造業の海外進出が相次いでいるが、これには内在的な原動力がある。中国はすでに世界の製造業の中心になっているが、中国の製造業には大規模だが低品質という大きな問題が残されている」と指摘した。
中国商務部、国家統計局などの部門が昨年9月に共同発表した「2014年中国対外直接投資統計公報」によると、中国のすべての対外投資分類において、製造業の2014年末時点の投資残高ランキングは、リース・商務サービス業、金融業、採鉱業、卸売・小売業に続く5位に留まった。張氏は、「これは中国の製造業の世界における地位に合わない。中国の製造業には弱点が存在するが、世界の製造業の資源統合に参与し解決していかなければならない」と述べた。
張氏は、「海外M&Aでグローバル企業となった後、中国企業は世界市場で人的資源・ブランド・販売網の統合が可能だ。同時にサプライチェーンの管理、品質、標準なども世界水準に合わせる。この過程において、中国の製造業のモデルチェンジとアップグレードを促す」と述べた。
張氏は、「この過程は、世界が中国の製造業の発展による成果を共有する過程でもある。中国の製造業はこれまで、先進国のブランドとセットになり、他社のために働きOEMばかりをやってきた。今後は中国ブランドと中国の技術を軸とする新たな生産網を徐々に形成し、現在よりも多元化された世界生産網と構造を形成していく。中国企業の海外進出は、世界により優れた製品を提供し、かつ多くの国に新たな発展のチャンスをもたらす」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年4月1日