シャープと東芝のケースを通じて日本電子産業が隆盛から衰退へと至る様子をうかがうことができる。ここ数年の間に、電子産業はこれまでの垂直分業モデルからグローバル規模の水平分業モデルへと移行している。バリューチェーンの川上にいるのはアップルを代表とする革新企業で、主に技術プラットフォームの構築とブランドの開発・販売を手がけ、製造は行わない。川下にいるのは鴻海を代表とする受託製造企業で、大手ブランドから生産を請け負い、スケールメリットで製造コスト引き下げをはかる。
日本の政策研究大学院大学の邢余青教授は、「美的や鴻海などの企業のこれまでの成功は新興市場の安価な労働力を十二分に利用することを土台としてその上に築かれたもので、規模は大きいが、バリューチェーンの下の方に位置する。日本の有名家電メーカーを買収することで、バリューチェーンの上方へと飛躍するために必要な時間が短縮されるはずだ」と話す。