中国にとって、如何にして供給側の構造改革に取り組み、経済の持続的かつ健全な発展を促進するかが最重要課題となっている。供給側の構造改革とは、財政・税制改革、構造調整、行政改革(行政組織の簡素化、許認可権の削減や委譲)、産業革新などの多様な手段を通じて、市場の需給関係を調整することで市場の機能や役割を発揮させ、全要素生産性の向上につなげることをいう。
営業税から増値税へ切り替える増値税改革は、財政・税制改革の「目玉」であり、供給側の構造改革を進める上での重要な税制措置でもある。5月1日から全面的に導入される予定だが、供給側の構造改革にどのような効果をもたらし、産業の高度化促進や新成長エンジンの創出にどのような影響をもたらすのであろうか。
前例なき減税、全業界で税負担軽減へ
増値税改革の全面導入により、減税額は年間5000億元にも上る見込みだが、この「魅惑的なプレゼント」を多くの企業が心待ちにしている。
大手監査法人、畢馬威(中国)会計師事務所(KPMG)の副主席で税務サービス業務の主管パートナーを務める何坤明氏は、「経済の下押し圧力が強くかかるなか、増値税改革の全面導入により企業の税負担を軽減すれば、供給側の構造改革を大きく推進することができる。投資の促進は供給力を増加させ、需要の増加にもつながり、ひいては企業の収益力を高め、イノベーションや起業の活性化につながる」と指摘。中国政府は今回の増値税改革を導入する上で、全業界の税負担の軽減を確保することを強調しているとして、税負担の軽減により社会と経済の発展に乗数効果をもたらすことが期待できるとの見方を示した。