多くの日本人は、中国の科学技術水準が「依然として発展段階にある」と考えているかもしれない。しかし、各国の科学技術研究開発向け投資や、最近発表の論文件数、大学の世界ランキングを細かく分析すると、中国の違ったイメージが見えてくる。
日本国立開発法人科学技術振興機構(JST)顧問の中村憲樹氏は、中国の科学技術水準は日本を超えたとの見方を示した。それについていくつかの点を挙げ、以下のように説明している。
まず、中国の研究部門に人材を提供する大学と研究団体の数が急増した。中国の大学数は日本の4倍超に上り、依然として増えるなか、学生と研究員の数も急激に増加、中国は以前から一貫して「科学教育立国」の戦略を実行し、ここ10年間で、科学技術向け研究開発費が年平均20%増え、2009年には日本を上回る世界第2位となった。
2番目に、「海外留学帰国者奨励政策」で人材の確保に努めている。中国の大学を訪問すると、いずれの大学も学長が年齢的に若い上、その多くが外国語を流ちょうに話す。約10年前はほとんどの海外留学者が卒業後に帰国しなかったが、政府は「海外留学帰国者奨励政策」を打ち出して、専用住宅の提供、配偶者と子育て問題の解決などを進め、多くの人材を中国国内の研究機関や大学での勤務に導いた。