中国の経済成長が減速するなか、その経済が「中所得国の罠」に陥ったのではないかとの懸念が浮上している。「中所得国の罠」はここ数年、よく議論されるなじみのある言葉になったが、実はその概念に対する誤解も甚だしい。「中所得国の罠」は、初期段階で順調な経済発展を成し遂げた発展途上国が成長を持続させる原動力を失い、経済が停滞に陥り、先進国への仲間入りを果たせない状態を指す。このような発展途上国は「中所得国」から「高所得国」への躍進を実現できない。シンガポールの日刊紙『ザ・ストレーツ・タイムズ』が23日付で伝えた。
購買力平価(PPP)を基準にすると、2014年の一人当たりGDP(国内総生産)が1万3000米ドルに達した中国は、すでに中所得国では上位にランクインしている。しかし、巨大な人口を抱える国にとって、一人当たりGDPを急速に引き上げることは極めて困難だ。
中国が「先進国」になるまで要する時間は二つの要素に左右される。一つ目は国際的な「先進国」の基準。二つ目は中国経済の成長潜在力。世界銀行の基準では、中国の一人当たり名目GDPはすでに先進国に近づいている。しかし、「先進国」の判断基準となる一人当たりGDPの下限を1万6000米ドルに引き上げられる動きもある。中国の15年一人あたりGDPで試算すると、この基準をクリアするまで、7%の経済成長率を維持した場合は6年、経済成長率が6%の場合は10年がかかる。ただ、いずれにしろ、中国は2030年までに「先進国」に加わる公算だ。