インターネットが現代の経済活動にもたらした最大の成果として、企業や業界、産業、地域や国家など、これまで障壁のあった空間の枠を越えて、連携や協調、融合がしやすくなったという点が挙げられよう。今後の経済発展を促す最も効果的な手段とされるのがイノベーションである。このことは誰もが認めるところだ。そのイノベーションを起こす上で、きっかけとなるのが他分野、他産業、他地域等との融合であろう。いわゆるオープンイノベーションの発想である。このように、インターネットの発展が世界を根本から変えるだけの大きな力を有していることが分かる。
これまでのインターネットの普及によって、人類はたくさんの恩恵を手にすることができた。世界の平和や人々の幸福に大きな役割を果たしていることも間違いないだろう。しかし、その一方で巨大な弊害やリスクが存在していることを忘れてはならない。国や地域を越えて、世界がインターネットで一つにつながることは、一旦それが悪用されれば、瞬く間に悪影響が世界中に蔓延することを意味しているのだ。国防・外交上の機密漏えい、詐欺、誹謗中傷、特許権侵害・技術流出、ポルノの蔓延など、例を挙げたらきりがない。インターネットの発展に対して、地球人類全体の意識が追い付いていないと言えばそれまでだが、現実にインターネットが実用化し、ここまで普及している以上、現状を踏まえた上でインターネットセキュリティを確実に実施する必要がある。
世界を大きく変えるだけの力を持ったインターネットだが、使い方を誤ればとてつもない巨大な凶器にもなりかねない。それだけに、使う側の意識の向上が求められるのだが、現代社会がそこまで成熟していない以上、悪用できないような公的機関による管理・監督システムの構築、さらには悪用すること自体が割に合わないような仕組みの構築が求められるのだ。「大いなる力には、大きな責任が伴う」。米国映画「スパイダーマン」で、主人公ピーターの伯父ベンがスパイダーマンであるピーターに残した言葉である。インターネットを使うには、相応の責任が伴うことをしっかりと自覚しなければならない。
(本稿は筆者個人の意見であり、中国網や所属機関を代表するものではありません。)
中国語網日本語版(チャイナネット)2016年5月9日